木魚歳時記 第1668話

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 チューリップ花びら外れかけてをり  波多野爽波

 椿の花は「ぼとり」と落ちます。その潔さが武士道に適っていたとか?「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」。そんな芍薬も牡丹も盛りの頃の豪華さにくらべると散るときは無残であります。百合の花の萎む姿に至ってはもっと哀れです。ところで、チューリップは違います。花の盛りに花びらの一枚ぐらい外れかけても「チューリップいまならわたしあげるわよ」と艶美に誘いかけます。

      僧院に汚水溝あり朴の花