木魚歳時記 第1669話

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   草の根の蛇の眠りにとどきけり   桂 信子

 {冬眠の蝮のほかは寝息なし}(金子兜太)の作品とくらべると面白い。「寝息なし」の作品はあくまでもおおらかなアニミズム作品であります。「草の根」の作品は繊細な心理描写であります。伝記によれば、信子は結婚二年で夫と死別したとあります。眠る「蛇」は他界した夫の比喩とするならば、「とどきけり」は亡き夫に対する信子の思いでしょうか?と、するならば凄まじい。あれこれ想像をするのも楽しい。

     まくなぎにつきまとはれて天城越