木魚歳時記第4009話

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 清盛は父の旧邸を賀茂川の方に広げて、百七十余棟みまで大々的に建て増した。
 彼の全盛時代には、北の鞍馬路からはじまって、東の大路ををへだてた東南のかど、小松殿まで二十余町におよぶまで門を連ね、軒を並べた一族親類、郎党眷属を住居を細かに数えると五千二百戸あまり、その主なものはみな当代の大官の邸宅なのだから、こここそ都の中の都ともいうべき土地となったわけである。
(佐藤春夫『極楽から来た』)682

        寺に入り寺を護りて草の花

 「ボクの細道]好きな俳句(1756) 秋元不死男さん。「吸殻を炎天の影の手が拾ふ」(不死男) モク拾い。この言葉は死語となったのでしょうか。戦後の生活難の時代には、捨てられたタバコの吸い殻を拾う姿は日常茶飯事でした。夏の盛りの炎天下で吸い殻を拾う一瞬(そのシルエット)があざやかに浮かびます。

 鹿5「こっちに来たまえ。なにも怖がることはないんだ。鉄砲なんか持ってたって、こつは体裁だけだ。いっぱし腕に覚えのある人間の真似(まね)をしているだけださ。こんなものは使やしない。薬莢(やっきょう)は引き出しの中へ入れたままだ」