木魚歳時記 第1087話

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 紅(べに)は、紅花(べにばな)より抽出されます。二千年の昔、エジプトより中国を経て日本にもたらされました。
 紅花の液に布をさらすと、水に溶けやすい黄色の色素は流れ出し、水に溶けにくい紅色の色素(カルタミン)が残留して鮮やかな紅色となります。この作用を高めるために梅に含まれるクエン酸が触媒(しょくばい)として利用されます。いわゆる烏梅(うばい)の技法です。
 ところで、紅色を「くれない」と称します。これは呉(くれ)すなわち中国からきた藍(あい)の意味です。当時は色といえば紅(べに)と藍(あい)でした。とくに藍(あい)は染料の代名詞と考えられていたので、青い色である藍(あい)をも「くれない」と呼んだようです。

    咽もとをすべる剃刀近松忌