木魚歳時記 第1035話

f:id:mokugyo-sin:20140101211659j:plain

背中が光る そんなウソのない 人生を歩いてみたい  (石川 洋)

 「未だに嗚咽する夜の街。旅人の口は固く結ばれてゐた。うでてつるつるした卵を食ふ時だけ、その大きさだけの口を開けた」。つぎに揚げる句について三鬼は上記のように自解しています。
  
   広島や卵食ふ時口ひらく 三鬼

 三鬼と同宿した人が書いていました。「熟睡している三鬼の枕元に句帖らしきものがおいてある。どんなことが書いてあるか? 誘惑を抑えられずそれを見ようとすると、眠っていたはずの三鬼の手が動いてするすると布団の中に手帳を仕舞いこんでしまっつた。三鬼の執念に触れたよな気がしてにゾッとした」。と書いていました。みんな心の底を叩けば同じような音がするのでしょう。

     しんがりに小僧侍りし雨安居