おのれより出ずるものはおのれに還る
孟子(もうし)の『梁恵王』(りょうえおう)にあることばです。「自らが行ったり、口に出したり、心で考えたことは、すべて他人を通して自分自身に還(かえ)ってくる」という意味です。
仏教では「慈悲」(じひ)を説きます。慈悲(じひ)とは、すべての人々の苦しみを取り去る菩薩(ぼさつ)の行為のことです。これは、仏教のもつ大きな特長であります。「衆生(しゅじょう)病むが故に、菩薩(ぼさつ)もまた病む」。この言葉が「慈悲」(じひ)の意味をよく表しています。つまり、菩薩(ぼさつ)の特長は、衆生(しゅじょう)と苦しみ、衆生(しゅじょう)と喜ぶところにあるのです。