木魚歳時記 第758話

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 七十年。善根(ぜんこん)とはいえないが、人を困らせることなく、まじめに暮らしてきました。善行(ぜんぎょう)とはいえないが、できるかぎりの努力はしてきました。お蔭で幸せに暮らせました。

    「福徳は善根より来る」(大乗の十来)2

 猿の王が、山中を歩いているとき悲鳴がした。みるとひとりの男が倒れて苦しんでいるではないか。そこで猿の王はその男を背負って、里の近くまでつれていってやった。そして、猿の王は疲れてそこで寝込んでしまった。いっぽう、すっかり元気になった男は、寝込んでいる猿の王を見て、とんでもないことを考えついた「俺は、腹がへっている。いっそこの猿を・・」。頭を砕かれ意識がうすれていく中で猿の王は思った「自分は猿の王といわれ満足してきたが、今、このような男ひとりすら救えないでいる・・まだまだ修行が足りない」と。この猿の王とは、修行中の釈迦(しゃか)でありました。

      春の月見て山門の内に入る