木魚歳時記 第759話

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 七十年。無信心とはいえないが、放漫のゆえに三回の大病を患いました。そのつど、仏のご加護と多くの方のお蔭で快癒しました。ありがたいことです。

    「無病は信心より来る」(大乗の十来)3

 老婆がいた。あるとき村に比丘(びく)がやってくるので、灯明の油を寄進(きしん)したいと考えた。そこで、なけなしの銭をはたき、わずかな油を買ったのです。「これだけの油では夜半までしか持たないかも?」。老婆はそう考えました。しかし、心に供養を念じながら、油を比丘(びく)のところへ持っていきました。その夜、嵐がやってきました。ところが、大量の油を寄進したお大尽(だいじん)の灯明(とうみょう)は消えましたが、油の少ない老婆の灯明は消えなかったといいます。

     春浅し一幕二場の予診室