木魚歳時記第4888話 

 その夕方、赤鬼青鬼は飛び出した時の元気にも似ずすごすごと帰った。不景気な顔は問わずして仕事の不首尾を語っていたが、待ち受けた定明が問うと、彼らは大のふきげんで報告した。
「小豆島(しょうどしま)から豊島(としま)、男木島(おぎしま)、直島など流された上人の船を追いつづけて、やっと追いついた塩飽(しあく)本島の笹島浦に入ろうとするところで丑三つの頃に難なく船内に忍び入り胴の間に近づくと、しきりに念仏の声がしていた」(佐藤春夫『極楽から来た』)

         空豆を食らひたちまち楽天家

 「空豆」(そらまめ)は夏季となります。さて「一日も早く寓居に戻りたい」。そればかり考えていました! しかし、その願望が叶(かな)うと、たちまち、もうすこし長生きしたい! おいしいモノを食べたい! ずいぶんと身勝手なものです(汗)。