木魚歳時記第4877話 

 旧主宗輔は保元(ほげん)元年八月十九日には左大臣、翌年八月十九日には同族の伊通よりも先に太政大臣にさえなっていたが、そのころは疾(と)くにその家から去って、近畿諸国の荘園の武士となり、つづいて博徒(ばくと)となり、更に強盗の群れにさえ身を投じるようになっていた定明は人生の振り出しを誤って強盗、海賊、博徒、人買いと人生の裏街道ばかりを歩きつづけて、その何者としても成功することなく生涯を困窮に老いた彼は、も早、自身動く気力も体力もなく、今は若い盗人どもに仕事の場を見つけてやったり、方法を教えたりして、その分け前を恵まれて辛うじて余生を送っている。・・」(佐藤春夫『極楽から来た』)

        人間のこはれるときや石鹸玉

 「石鹸玉」(しゃぼんだま)は春季です。「しゃぼんだま とんだ やねまで とんで こわれて きえた」(野口雨情)の歌詞を思います! こんな時は『般若心経の意(こころ)』(小笠原秀實)の書物を紐(ひも)ときます! ぼくはこの書物を大切にしています!