木魚歳時記第4862話

「都に居れば大丈夫、辺土では必ず危ないと決まった人の命でもありますまい。漢土では白楽天、わが朝では道真公など流謫(るたく)は聖賢の行くところです。わが身には過分な朝恩ととも思います。永年志してまだ折もなかった辺鄙(へんぴ)の地の人々に法を説く好機会と、わたくしは喜んで出かけます。ただあなとのお別れ
は惜しいですが」と法然は兼実を慰める一首を残した。露の身はここかしこにて消えぬとも心は同じ花のうてなぞ(佐藤春夫『極楽から来た』)

             優曇華に最も近き求道僧

 「優曇華」(うどんげ)は夏季となります。仏教では三千年に一度花ひらくという稀有(けう)の花とされます。さて、ぼくが臨終の時には、観音(かんのん)勢至(せいし)菩薩を脇侍(わきじ)とする「弥陀三尊」(みださんぞん)のご降臨くださることを、だだひたすら祈念いたしております!