木魚歳時記第4852話

 「坊主ではないか。おらが寝る邪魔するんでないぞ」
 と叫ぶなり板戸をぴしゃっと閉めた。
 流人と役人と三人は、風下の荷車を置いた低い差しかけ屋根を求めて、雨具を荷から引き出し頭からすtっぽり引きかぶり、三人は獣のように一かたまりになってうずくまったが、寒さに眠りはすぐ目ざめた。
 ちょうど車の上のあたりの荒壁の破れ目かららしく洩れ聞こえたのは、男女の誰憚らない獣的な営みの声である。いつしか雪はやみ月も出て一帯の雪原を再び明るく照らした。ねれた土の寒冷が寂しさとともに流人綽空の背筋に徹した。
(佐藤春夫『極楽から来た』)

                  夜濯のしゃぼりしゃぼりと外科病棟

 「夜濯」(よすすぎ)は夏季となります。さて、洗面の時、顔を見て驚きました。そこに「しんきくさい」自分が映っていたからです! ああこれが、ぼくの本性なんや! そのとき、つくづくそう思いました! これからは「くよくよ」しないで楽しく過ごします(笑)。