木魚歳時記第4853話

 やっと辿り着いた配所は頸城郡国府の竹内に近い五智如来景の(ごちにょらい)を祀った国分寺迂津梁院の門前三、四町を過ぎた大湯村という寒酸たる在所であった。
 領送使の手から郡司萩原年景に引き渡された綽空が、年景の下司に導かれた住居は、八畳の屋根の下半分をむしろ敷きの居間とし、あとの土間は裏の草山から用水を引いて炊事場とし、さしかけに厠(かわや)がある。家が南面しているのがせめてもの有難さで、背後は山、左右は深い淵底の沼という見るからに荒涼たる、死ねよとばかりの不健康地と思えた。 (佐藤春夫『極楽から来た』)

       かみそりの喉もとあたり鱧の皮   鱧(はも) 

 「鱧の皮」は夏季となります。剃刀(かみそり)は、この場合は和風の剃刀です! カミソリ、それが喉仏(のどぼとけ)のあたりに来ると! まさか外(そ)れたら! えっ、そんなこと考えるのは! ぼくだけでしょう(汗)。ともかくぼくの好きな俳句の一つです!