木魚歳時記第4829話 

「喜んで、これをしとねに引き入れようと手を延ばしたところで夢はさめました。わがあさましい欲望がこんな夢を見せたものでしょうか。それとも本当に救世観世音の誓願の趣旨なのでしょうか」
 法然はこの若い客人の質問を海が河川を呑むような自然な態度で受け入れて、顔いろ一つ動かさず、そうして静かに直ぐあわやかに答えた。
「それはそなたの欲望が観世音の誓願の趣旨を正しく解いたまでである。おそるるな」佐藤春夫『極楽から来た』)

       老師また饒舌相や仏法僧  饒舌(じょうぜつ)

 「仏法僧」(ぶっぽうそう)は夏季です。鳴き声から「コノハズク」と混同されることも? さて、ぼくの師僧(おやじ)は、いつも、ぼくに云いました。「手に職をつけなあかん」口癖のように云いました! ぼくは、お陰さまで「二足のワラジ」に恵まれました! ありがたいことでした!