熊谷は並木の下を並木と平行に、わき目もふらず、一歩一歩直進し、往復する師の姿を、ある時は同じ庭の片隅に草を引きつつ、または落葉を拾い掃目を入れながら、ある時は部屋の障子のかげに蹲(うずくま)って見守っては、あたかも聖光から聞いた釈尊の樹下逍遥のお姿が幻に現れ出たかと思うのであった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1392
「沙門空海」(15句)
1 竜天に登るがごとき入唐僧
ぼくは、所属する結社の、平成22年度「募集大作」に、「沙門空海」のタイトルで応募しました。改めて、ここに15作品をセットで掲載いたします。よって、重複する作品もありますが・・俳句初めて10年余り、70歳を越えた頃の身心ともに油の乗り切った頃の作品群です。しばらく、セットでご笑覧ください。