木魚歳時記 第2388話

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 (サビア) 師(ブッダ)が答えた「内面的にも外面的にも二つながらの白く清らかなものを弁別して、清らかな智慧あり、黒と白(善悪業)を超越した人、このような人がまさにその故に(賢者)と呼ばれる。」(スッタニパータ)

 [ボクの細道]好きな俳句(159) 原 石鼎さん。「高々と蝶こゆる谷の深さかな」(石鼎) 深い渓を蝶がひらひらと越えてゆくというのです。まず、その蝶のあまりにもたよりなくて小さなこと。くらべて見上げるように切り立つ谷のあまりにも高いこと。その対比にまず圧倒されます。そして、次の瞬間、そこに蝶に乗り移った自分がいることに気づきます。吹き上げる風に流され、どうか無事に越えてしまいたい。そう願う自分がいるのです。まことにすごい俳句というほかありません。  

          虹が死に風がにはかに騒ぎ出す