「走っても疾(はや)すぎることなく、また遅れることもなく<世間における一切のものは虚妄(きょもう)である>と知って迷妄(めいもう)を離れた修行者は、この世とかの世とをともに捨て去る。―蛇が脱皮して旧い皮を捨て去るようなものである。」(スッタニパータ)
「迷妄」(めいもう)とは、わたしたちが何らかの原因で<心に抱く迷い>のことです。仏教では<心に抱く迷い>のことを「煩悩」(ぼんのう)と説きます。とりわけ、仏教では、「怒り」と、「貪り」(むさぼり)と、「無知」(真実を知らない)の三つの煩悩を「貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)」と称して、根本的な煩悩(三毒)としてこれらを排除するよう説きます。
老人の浮遊感覚いぬふぐり