ボサツと鷹
鷹に追われた鳩がボサツの懐に入りました。やがて鷹が来て鳩をよこせと迫ります。「よこせ、だめだ」の押し問答の末、鳩と等量のボサツの肉を渡すことで話がつきました。ボサツは右の腿(もも)肉を削(そ)いで秤(はかり)に乗せて渡しました。しかし鷹はそれでは足らないといいます。そこで左の腿肉も削(そ)いで渡しました。それでもまだ足らないといいます。つぎつぎと体の肉を削いで、血まみれとなったボサツは、ついに「自身のすべてを捧げよう」と秤(はかり)によじ登ろうとされました。そのとき、鷹に姿を変えていた帝釈天(たいしゃくてん)は、元の姿(仏)に戻られ、そしていわれました「ボサツよあなたこそ仏になりたまう」と。(『比喩経』) 帝釈天=インド古来の神