木魚歳時記 第1865話

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あわて兎

 あわて兎の巣穴のところでドスンと音がしました。兎はなにがなんだかわかりません。そこで、兎は水牛のところに、水牛はサイのところに、サイはトラのところに、トラはライオンのところに「大地が壊れたのでは」と、それはそれは、大変な騒ぎとなりました。そこで、ボサツさまが、ウサギの巣穴のところに行かれると大きなヤシの実が落ちていました。「大地が壊れたような音」とは、ヤシの実が地面に落ちた音でした。ボサツさまは「敵国が攻めてくるかも」と疑心暗鬼でいる王に、この話をしてお上げになりました。(『比喩経』)             ボサツ=菩薩(ぼさつ)=求道者

     黒猫の髭かすめたる霙かな   霙(あられ)