木魚歳時記 第1728話

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 煩悩(ぼんのう)

 仲のよい夫婦がいた。或る晩、夫が妻に「蔵からぶどう酒をもっておいで」と頼んだ。妻がぶどう酒を汲もうと甕(かめ)ふたを取ると、中に美人が隠れているではないか。驚いた妻が夫をなじった。そこで、今度は夫が甕の蓋を取ると美男が隠れている。二人は、お互い「不倫」をしていると思い込み、それがもとで夫婦別れとなってしまった。なんのことはない、甕の蓋を取ると自分の姿が映ることに気がつかなかったのだ。「無知」(むち)から起こる悩みを「煩悩」(ぼんのう)という。

      雪仏なんのこつちや丸裸