木魚歳時記 第1654話

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    山椒魚ついつい山椒魚を生み  池田澄子

 山椒魚といえば、井伏鱒二さんの短篇『山椒魚』を思い出します。山椒魚と小エビのユーモラスでペーソスに満ちた「やりとり」がたまらない。さて、掲句は、古生代より天然記念物として残る山椒魚を描いた軽妙な作品です。種の保存とか大上段に振りかぶることなく「むつかしいことをやさしく」(井上ひさし)の名言を俳句に生かした愉快な作品です。それにしても、山椒魚を撮影するのはむつかしい。

    かるの子のひとつ列より後れたり     かる=かるがも