虫の闇だまつて通る虫のあり 石田郷子
澄んだ虫の声に秋の到来が感じられます。「虫すだく」とか「虫時雨」とくれば、静けさの中に賑やかな気配すら感じることもあります。いっせいに鳴く「虫楽隊」のにぎやかさがあるからです。しかし、掲句は「虫の闇」とあります。虫の声の外はなにもない漆黒の闇が迫るのです。そこに「だまって通りすぎる虫」とくれば、かなり「あぶない構図」となるわけです。心理的な描写の効いた幻想さに曳かれます。
虫の闇だまつて通る虫のあり 石田郷子
澄んだ虫の声に秋の到来が感じられます。「虫すだく」とか「虫時雨」とくれば、静けさの中に賑やかな気配すら感じることもあります。いっせいに鳴く「虫楽隊」のにぎやかさがあるからです。しかし、掲句は「虫の闇」とあります。虫の声の外はなにもない漆黒の闇が迫るのです。そこに「だまって通りすぎる虫」とくれば、かなり「あぶない構図」となるわけです。心理的な描写の効いた幻想さに曳かれます。