木魚歳時記 第1232話

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綺田

 綺田(かばた)という在所の名前です。これをすらすらと読める人は少ないでしょう。京都府の南部、相楽郡山城町にあります。笠置(かさぎ)より少し北にあり、付近には、木津川や大小の天井川が集まり、水害の多く発生した地域でした。また近くには、蟹の恩返し伝説で有名な「蟹満寺」(かにまんじ)や「綺原神社」(かんばらじんじゃ)などがあります。カバタのカは、カハ(河)のカであるといわれます。バはニハ(庭)であるといわれます。つまり、カ・ニハ・タ(河庭田)の意味で、川の被害を受けやすい河端の稲田の意味であります。水害を受けながらも、また、かっては水の恵み無しには生きられない人間の生活、そのことが水の精霊への畏敬と信仰として在所の名前、寺の名前、神社の名前として伝わっているようです。
JR奈良線玉水

    偏屈の蛇穴に入る門跡寺