木魚歳時記 第1019話

f:id:mokugyo-sin:20140101205930j:plain

人の意見や、人の注意を聞けない耳は
だんだん小さくなってしまっている  (米田啓佑)

 哲ちやんの描いた「アリのお遍路(へんろ)」という絵を見ると、蟻(あり)さんが真っ赤に塗られてありました。そこでぼくは哲ちゃんにたずねました。「哲ちゃんの描くアリさんは虹色やなあ・・なんでや?」。すると哲ちゃんの答えが返ってきました。「虹てきれいやろ、だからアリさんも虹色にしてあげたの・・」。「人間のお遍路(へんろ)さんも大変なんやろ?」「アリさんのお遍路(へんろ)ならもっと大変とちがう? だからきれいな色に塗ってあげたの・・」。つぎつぎと哲ちゃんの答えは返ってきます。「このごろ人間のお遍路(へんろ)はバスで行くんやろ・・なんでや?」。ぼくはウンウン、フンフンとうなずわけにもゆかず黙ってしまいました。

      短夜に焦げてをります恋心