木魚歳時記 第1012話

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涙には 涙にやどる ほとけあり
そのみほとけを法蔵という  (木村夢相)

 大徳寺を開いた大灯国師(だいとうこくし)の三十三回忌法要の前夜、おそくまで続く修行僧たちの読経の声を耳にしながら、一休禅師(いっきゅうぜんじ)は、若くて美しい女性と愛欲のるつぼにあったと伝えられています。
 あの頓知(とんち)で有名な一休さんに、①小才のきいた神童の顔 ②きびしい修行僧の顔 ③自由奔放(ほんぽう)に生きた人間像 この三つがあったのです。そしてそのいづれもが、世の欺瞞(ぎまん)と虚飾(きょしょく)に対して、子供のように純粋に反応した、禅僧としての「道心」(どうしん)が貫らぬかれていたのです。

     筒鳥や読経の僧のねむり癖