木魚歳時記 第862話

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一粒万倍

「おとととと、こぼれるわえ、一粒万倍万倍と、こぼれし酒を額(ひたい)につけ・・」。歌舞伎(かぶき)『夢結蝶鳥追(ゆめむすびちょうとりおひ))』にあることばです。
 一粒の種をまいて耕せばその数万倍の収獲となる。労作(ろうさ)の大切さを知っていた時代だからこそ、こぼれた一滴の酒にも<もったいない>と額(ひたい)をすりつけたのです。
 ネットを駆使(くし)して、株の売買で一攫千金(いっかくせんきん)を狙う若者の姿が放映されました。商法の遅れとか、メデイアの報道姿勢とか問題もありまが、労作(ろうさ)つまり「額(ひたい)に汗して働くこと」の欠如(けつじょ)が目につきます。

     大日本皮一枚や百日紅