木魚歳時記 第860話

f:id:mokugyo-sin:20131228141027j:plain

慈なり故に能く勇なり

 『老子』にあることばです。老子(ろうし)は、天下を支配する秘訣(ひけつ)は、慈愛(じあい)と、節倹(せっけん)と、ひかえ目の三つをあげています。とりわけ、慈悲(じひ)あってこそ真に勇敢(ゆうかん)になれる。といっています。
 佐渡に流罪(るざい)になった日蓮(にちれん)は「日蓮はなかねどもなみだひまなし、このなみだ世間のことにはあらず、ただひとへに『法華経』(ほけきょう)の故也」。といっています。日蓮(にちれん)の涙は、流罪(るざい)を悲しむ涙ではなく、尊い『法華経』(ほけきょう)の法難(ほうなん)に対する慈愛(いつくしみ)の涙であり、法難(ほうなん)に勇猛(ゆうみょう)に立ち向かう決意の涙でありました。

    暁のあれは甘露か法師蝉