水は自ら茫茫花は自ら紅なり
宋代(そうだい)の廓庵(かくあん)の描いた「十牛図」(じゆうぎゆうず)の第九に「返本還源」(へんぽんげんげん)とあります。「源(みなもと)に立ち還(かえ)る」という意味です。
根源に立ち返るならば、おのずから、川の水の茫茫(ぼうぼう)と流れ、花の紅(べに)のあざやかさに気付くことでしょう。さて、お盆のご回向(えこう)で、お檀家(だんか)さまを訪ねた時のことです。読経(どきょう)が終わるまでずっと<うちわ>で涼風を送ってくださる若奥さまがありました。かってはこんな風景もよく見ることができましたが・・しばし、極楽にいる心地で読経(どきょう)を続けました。人の心に触れる「源(みなもと)に立ち戻る」ひとときでした。