木魚歳時記 第787話

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 昔、円譽(えんよ)というお坊さまがおられた。心のやさしいお方で、山の中で修行(しゅぎょう)をされていたとき、猿や狐にナムアミダブツと書いた紙切れを与え、手を合わすよう説いておられたそうじゃ。

  「仏の心とは大慈悲これなり」(『観無量壽経』)

 或るとき、猟師(りょうし)が山で猿を射ようとした。ところが猿は、手を合わせて何か紙切れを落とした。猟師(りょうし)が見ると「ナムアミダブツ 正行院円譽(しょうぎょういんえんよ)」とある。驚いた猟師(りょうし)は猿を逃がしてやり、その足で、円譽(えんよ)さまの弟子となった。やがてこの話が伝わり、正行院(しょうぎょういん)は、猿寺(さるでら)と呼ばれるようになったそうな。<正行院:東洞院塩小路下ル>

    花のころ二十五菩薩練供養