木魚歳時記 第765話

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 七十年。貧窮(ひんきゅう)とはいえないが、質素な暮らしでした。慳貪(けんどん)とはいえないが、水谷幸生先生のお引き立をいただき、家族みんなを育てることができました。感謝しています。

     「貧窮は慳貪より来る」(大乗の十来)9

 リスの夫婦が巣づくりをしていた。秋になり木の実が熟したので、夫婦は虚(う)ろに蓄えることにした。ところが、日がたつにつれ、蓄えてある木の実は乾燥して、もとの半分となってしまった。雄(おす)のリスは、雌(めす)に「おまえが食べたのだろう?」。雌(めす)は「食べていない」。と、いさかいとなった。そしてあげくのはて、雄(おす)のリスは、雌(めす)を巣から追いだしてしまった。まもなく大雨が降って、湿った木の実はもとの分量に戻ったが、雌(めす)が巣にもどることはなかった。

     沈丁や匂ひ残して僧去りぬ