木魚歳時記 第764話

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 七十年。殺生とはいえないが、多くの<いのち>を奪ってきました。長生きとはいえないが、今、こうして生き長らえています。ありがたいことです。

     「短命は殺生より来る」(大乗の十来)8

 妻を愛している夫がいた。その妻は容姿端麗(ようしたんれい)の美人であったが、残念なことに鼻だけが少し低いので夫は気にしていた。ある日、夫が町に出たとき、美しい鼻の持ち主に出会った。そこで無理をいってその鼻を譲ってもらうことにした。さっそく鼻を家にもち帰り、そして妻の鼻とつけ替えようとしたが、もちろんうまくいくはずはなく・・とうとう鼻なしの妻にしてしまった。夫は後悔したがいまさらどうしようもなかった。

     春の夜閨に傀儡の声もらす