木魚歳時記 第186話

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風花に 誦呪妖しきや 閻魔堂

 白頭鷲の営巣(その1)。腹をすかせた雛のところに、親鷲が野うさぎを運んできました。親鷲は肉片を細かく噛み裂いて、二羽の雛たちに与えておりました。二羽の雛たちも、かわるがわるその餌にありついておりました。

 わたしたちが赤ちゃんのとき、母の胸で味わった母乳の味は、なんともいえない温もりと、至福の安らぎがあったことを覚えています。このときの<初乳>には、それから母乳を吸収するための<成長因子>とか、ウイルスの攻撃から赤ちゃんを護る<抗体>が含まれています。つまり、授乳という行為の中には、親から子へと「いのち」伝達の大切な仕組みが隠されているのです。

 子どものころ母親が、咀嚼(そしゃく)した食べ物を与えてくれた記憶が残っています。こうした母親と子どものスキンシップ(絆)が、いま形を変えつつあるようです。それは衛生上のことか?育児方針のことか?理由はわかりませんが、気がかりなことです。

   「風花の 噂つれくる 二年坂