木魚歳時記 第184話

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遠仰ぐ 大三角や 初比叡

 自身の「癒し」について。詩人・リルケは「手には独自の歴史があり、手には独自の文明があり、手には独自の美がある。」と書いています。人類は、直立二本足で歩行を始め、そこで自由となった両手を駆使することで、大脳を発達させ文明を進展させてきました。

 さて、英語の「聖なる」の語源は古英語の「癒す」であり、インド・ヨーロッパ語祖の「完全な」「無傷な」にまでさかのぼることができます。また、東洋の諸国においては、仏像の一部に<触れる>信仰が盛んに行われます。仏像に<触れる>ことは、その人の信仰の原点であり、その人の「癒し」に繋がるからでしょう。

 新年に北野天満宮に参詣しました。大勢の人たちが、神社の<寝牛>の顔を、鼻づらを、背中を撫でながら…ごくあたりまえのように通りすぎてゆきました。このように<触れる>ということは、癒しの原点であると同時に、生活の原点でもあるのです。

    「鼠嗤ふ 四角四面の 鏡餅」