三猿も 不寝の一夜 初庚申
古代メソポタミアの時代に、すでに、獣肉の匂いを消すために香木が焚かれたという記録があるようです。また、コーランには「喜びの泉となる少女ファリは、その全身から芳香を放つだけでなく、体全身がビャクダンであった。」との記述があります。
香のかおりは、古くから神々の領域において、神々への最適の<捧げ物>だったのでしょう。このことは、東洋においてもおなじです。中国や日本の寺院では香を焚く習慣があります。宗教的なもの外にも香木の用途は広く、魔除けや医療目的として、また、美容ローションとして社交の場まで浸透いたしました。
仏事においても、献香、焼香、お線香を供える習慣があります。これは仏前に「香」を捧げることが、仏さまに対するなによりのご供養となることはもちろんですが、上記の<匂いの文化>で述べたように、香のもつ浄化作用、心を癒す効果がひろく浸透しているからでしょう。
「京なれや 上る下るの 春小袖」