木魚歳時記 第180話

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親綱や 後ろに目もつ 除夜の僧

 オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』には、恋しい男の首を手に入れるファムファタール(妖婦)が登場します。そしてこれは、男性の<悪女願望>の現れとされています。

 男性に比べ、腕力やその他に劣勢な女性は、女性特有の武器をもって男性に対抗してきたことは、古今東西の宗教、文学、芸術、いずれにも散見できます。何を隠そう、この「悪魔のささやき」については、ぼくにとっても最大の関心事です。ほとんど、ぼくの「業」(ごう)です。(な~んて大袈裟な、たんなるスケベですぼくは。) 

 釈迦さまが悟りに達せられるときも、多くの美女の群れが現れ、瞑想にふける釈迦に「悪魔のささやき」でもって誘惑したと伝えられます。しかし釈迦は、いっさい動じられることなく悟りに至られたそうです。しかしぼくは、いまの破戒僧のままでもいいから「悪魔のささやき」に触れてみたい…と、そんなことを妄想しつつ、除夜を迎えることになります。

    「うるし闇 本音のうなる 大晦日」