木魚歳時記 第174話

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しぐるゝや 足裏目となる 雲母坂

 江戸後期の狂言作家、大田南畝(1749-1822)は、また、蜀山人と号し「京風いろは歌」を詠んでいます。その中に、「(の)軒を並ぶる町なかで、(お)おいえさんでもいとさんでも、(く)くるりとまくって立小便。」とあります。

 子どもの頃、大原女(おはらめ)の婆さんが、商いの途中に切羽詰って、寺の土塀で「くるり」をやっていました。つまり、おなごもすなる立小便です。その逆噴射(向背位)の光景に遭遇したとき、子供心に仰天した記憶があります。しかしお寺の塀にバチ当たりが…とは思いません。それは、大らかで人情味のあるシーンでした。

 インドで興った仏教は、中国をへて日本に伝わりました。その間、いろんな風俗・習慣が習合(しゅうごう)したようです。ですから、仏教にかかわる習慣を「どうせねばならない」の視点でなく、「どうしたい」(自分の意思)で見つめ直すと、分かりやすくなります。そのことを、いつも、お檀家さんに話しています。

     「凩の 二拝三拝 御開帳」