木魚歳時記 第173話

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封じ手は およね婆の 大根炊き

 また、雲古(うんこ)で恐縮です。「微動だにしなかった個体は、やがて塊の角がゆるぎはじめると、つぎに本体がぐらつき、しばらくは抵抗をみせたが、やがてくるりと半回転して闇の中へと消えていった。」(『トイレの怪』より)

 うんこの処置も、雪隠蓄積の時代から、水洗便所A(しゃがみ式)をへて、いまや、水洗トイレB(便座式)へと発達してきました。それにつれ、観察するところ「個体」の印象も薄れてきたようです。

 ぼくは職業がら、もう一つの「個体」(ご遺体)に接する機会があります。この「個体」の処置についても、野辺送り(土葬)から、火葬A(自宅葬)をへて、いまや火葬B(会館葬)の時代へと進化しています。そして、葬儀のセレモニィ-化が進んでいます。
 私たちは、自然(お浄土)よりこの世に生まれ、また、自然(お浄土)へと還ります。こうした葬儀の「本質」を忘れてはなりません。

   「熱燗の こぼれ啜りて ナムといふ」