木魚歳時記 第125話

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聞法の 百菩薩あり 額の花

美猴王涙する

 春は花花眺めては飲み、夏は果物盛って食らい、秋は芋栗採って腹満たし、冬は黄精(薬草)煎じて気を養う。…といったぐあいに、まことに美猴王は楽しんで暮らすうちに、はや、四、五百年が過ぎました。

 その日も大勢の玄猿たちと一緒に酒盛りをしていると、美猴王は急にと悲しくなって涙がこぼれてきました。それをみた玄猿たちが心配して「王さま、なにをお悲しみで?」と尋ねると、美猴王のいうには「いまはこのように楽しいが、やがて、あの閻魔大王の指図で死んでしまわねばならない。それを思うと悲しくなってしまう。」と、また涙するのでした。
 そこである猿が「美猴王さま、あの閻魔大王に逆らい、輪廻(りんね)から逃れて、不老不死する神仙を知っております。」それを聞いた美猴王は、その神仙から「不老不死」の術を学ぶことを思いついたのです。