木魚歳時記 第88話

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鬼穴を 三石五斗の 豆で打つ

 昔、深泥(みどろ)池の近くには鬼が棲んでいました。悪さをして人を困らせるので、勇敢な法師が、鬼の穴に三石五斗の豆を撒いて退治したといいます。その跡は、鬼塚としていまでも残っています。

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 心、淋しい人は(から)と読むでしょう。
 ぼく自身のことです。木魚とは、中味の<ほんがら>な魚、心身とも腎虚(じんきょ)に罹った魚のことです。
 さて「空」とはインド語で、シューニャ(空っぽ)という意味です。インドでは<ゼロ>のこともシューニャといいます。無限の可能性を秘める<ゼロ>は万物の根源ともいえるでしょう。現代社会の利器・コンピュターの原理も、お釈迦さまの教え仏教も、このインドの思想(ゼロ)と無関係ではありません。木魚も中味が「空」(から)だから、叩けばポクポク音がするのです。