木魚歳時記 第71話

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奥の院 一つ太めの 白い息

 「バウ・リンガルを買いました」。豆八姐さんのワン公狂いは膏肓に入っています。

 そう、バウ・リンガルとは、ワンちゃんの首につける<犬語翻訳機>のことです。さて<キャイ~ン>と泣いたので見ると…「機械外して」。
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 仏教が説く「無我」の二番目は自我を捨てることです。「(何ものかを)わがものであると執着して動揺している人々を見よ。(かれらのありさまは)ひからびた流れの水の少ないところにいる魚のようなものである。これを見て<わがもの>という思いを離れて行うべきである」(『スッタニパータ』)と説かれます。これは私が…、私の…という「我欲」(執着)から離れることを意味します。
 でも「自我を捨て去ること」が涅槃(ねはん)・<さとり>に至る近道であったとしても、まだ<私>発のベクトルに変わりがありません。これを発展させて「私とあなた、あなたと私」この<双方向のベクトル>でものごとが始まるとき、仏教の「無我」は成就するのです。