木魚歳時記 第65話

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ナムの衆 十日十夜 高らかに

 「木魚のおっちゃん来てちょうだい」と案内状が届きました。豆八姐さんが小唄会にでられるのです。いま、そのときつける桃色<おこし>を、チクチク縫っておられるそうです。

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 女に化けた狐が、素性が知れ姿を消すとき、残していく恋しい男のために、障子に葛の葉でこんなことを書く…「恋しくば尋ねきてみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」。小唄<ごん狐>の文句です。
 人は、何かを求めるものです。しかし、なにごとにも、相手があって私もあるわけです。だから、相手にたいしてどうこうして欲しい…と要求した途端にいろんな<こと>が始まります。ヒーリングアートで有名な大川フサ子さんは、「しろくろ、つけたらじぶんはすっきりするやろ。そやけどあいてはどうやろ…ちょっと、待ってほしいときもあるかもしれへん。待つということも愛やとおもうよ」。と云っておられます。姐さんの<ごん狐>もこれでしょうか?