木魚歳時記 第62話

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色鳥の 尻尾を齧る 侠雀

「爺は、クサイ氏と呼ばれているのでやんすか?」。そう、会社にいたとき、爺ちゃんは、しんきくさい、阿呆くさい、面倒くさい、が口癖でがんした。そこでみんなから、クサイ氏と呼ばれ、自称<ウンコクサイ>と称したのでがんす。

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 「爺いの懺悔をするでがんす」。爺は、昔、あるおっちゃんに「群れをはなれ一人になって見つけた自分」と書いた葉書をもらい、大切にしていたでがんす。なぜかって?爺は<群れる>のが不得意でがんした。群れに入ると、居心地はよいでがんす。しかし、みんなに流される不満もあるでがんしょ?それが嫌でがんした。
 「唯我独尊」(ゆいがどくそん)。これは「大宇宙の中で、私という遺伝子を持つ存在は唯一つしかない、そのこと自体が貴重だ…」と、そんな意味でがんす。ところが、それを取り違えて「群れるのは嫌い」と、爺がほざくのは、とんでもない誤でがんした。しかし、もうもう手遅れでがんす、後の祭でがんす。