木魚歳時記 第16話

f:id:mokugyo-sin:20131209150036j:plain

やわらかき 蚋(ぶゆ)迷走の 青夜かな

 蚋(ぶゆ)とは、もちろん、ぼく自身のことです。まだ脱皮して間もない‘ぶよぶよ’した‘ぶよ’が、よわよわしく低空飛行するのを見ると、このまま「子供大人」で終始しそうな、ぼく自身の人生と、オ-バーラップするのです。

 ほんらい「迷惑」とは、「悟」に対する言葉です。真の知恵を持ちあわせず、道理に反して妄執することです。ですから、「迷惑」という漢字のほんらいの意味は、道に迷う、心が暗くまどっている、人をまどわす、などとなります。現代では「人をまどわす」が転じて、「人にまどわされる」の意味に使われているようです。
 「夏虫の火に入るが如く、貪欲(とんよく)に迷惑して、仏神のことを知らず、慈悲も施さず」(『八幡宮巡拝記』)とあります。まるで、ぼくの人生とそっくりなのに驚きます。ほんとうに。