木魚歳時記 第11話

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お初かな 風の息止む 青簾

 やさしく吹き抜けていく風も、なんだか今日はぎこちない。新品の青簾に戸惑ったのでしょうか、ぼくが、大黒さんの家をたずね「嫁さんに貰うことにします」(そうは言えなんだ)と、父君に談判したのは四十年近くも前のことです。彼女の「うなじ」が青簾のように、初々しかったことを覚えています。 
 「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず・・・」(方丈記)とありますように、歳月は、平等に過ぎるように仕組まれています。しかし「諸行無常」といえば寂しいようですが、平等に与えられた歳月を、みんなが「さまざま」に過ごせるのは愉快なことです。
 釈迦の教え、仏教は「苦」の追求と、「苦」の解脱を求めてスタートしました。そして、苦の体験では解脱出来ないと…村娘スジャータが捧げる一杯の柔粥(ヨーグルト)を飲まれて、「すべては移り変わってゆく」、「すべてはかかわりあっている」という、この世の真理に目覚められたのです。