木魚歳時記 第7話

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通り雨 波紋屋を継ぐ あめんぼう

 雨は、やんだはずなのに。池の面を見ると、水馬(あめんぼう)が、波紋を描くのを見ました。浮かんで消える波紋を見ると、「まだ雨が?」と、おもわず錯覚します。小笠原秀實先生は「足跡の残らば残れ足跡の、消えなば消えね一人旅行く」とお詠みになりました。自分の足跡を振り返ることもなく、通り過ぎていく孤高の哲学者か浮かびます。
 仏教に「法爾自然」(ほうにじねん)という言葉があります。文字どおり、自然・「ありがまま」という意味です。自然と私は「いのち」という一本の糸で結ばれている。すなわち、自然の中で「生かされて生きている」という、自然と私の「一体感」を指す言葉としてうけとめます。
 法然上人は、この「法爾自然」(ほうにじねん)の言葉から、「法然」(ほうねん)を取って「浄土宗」を開かれました。