木魚歳時記 第3384話

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 姉が子をつれて実家に帰っていると聞いた観学は俗縁ながら不幸な姉を慰めようと一日、山を下ってきた。彼はつぶさに語られた義兄時国の最後やその遺言、その後の姉とその子のことなど姉の語るのを聞いたのち、
「さすがは兄上」
と、観学はしみじみと、
(佐藤春夫『極楽から来た』)88

      訪れは雨たればかり額の花

 「ボクの細道]好きな俳句(1133) 摂津幸彦さん。「土砂降りの映画にあまた岐阜提灯」(幸彦) 「土砂降り」が、古びたシネマ(映画)の傷(フイルム)なのか? 「岐阜提灯」(夏季)の場面にある夕立なのか? ボクは後者だと思います。おわず寅さん映画を連想してしまう・・そうです、どこまでもノスタルジアがつきまとうのが幸彦さんの俳句なのです。