薬師院(やくしいん)本尊(ほんぞん)の薬師如来(やくしにょらい)は、空海(くうかい)が、一刀三礼(いっとうさんらい)、つまり、ひと刻みするたびに、三回拝みながら彫りあげたといわれているそうな。
「生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、
死に死に死に死んで
死の終わりに冥し」(空海「秘蔵宝論」)
昔、京に疫病(えきびょう)が大流行した。このとき、薬師如来(やくしにょらい)が住職の夢枕に現れて「一切病苦の衆生(しゅじょう)、わが前に来たれば諸病ことごとく治癒(ちゆ)する。早く来也(こぬか)=来なさい」とのお告げがあったそうな。この話が伝わって、薬師院(やくしいん)は<こぬか薬師>と呼ばれ、以来、参詣者が絶えないそうな。<薬師院:釜座通二条上ル>