木魚歳時記 第800話

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 <茶くれん寺>も通称(とおりな)で、正式には浄土院(じょうどいん)というそうな。これには秀吉のユーモア精神がからんでいる。
 
  「人間が本気でやることは
   そのままでりっぱだ」(山本周五郎「虚空遍歴」)

 昔、北野の天満宮(てんまんぐう)で、大茶会が催されたときのことじゃ。秀吉は茶会の帰りに、名水の井戸がある浄土院に立ちより、茶を所望(しょもう)したそうな。茶人の秀吉に<へた>な茶はだせんしなぁ、しかたなく庵主(あんじゅ)は白湯(さゆ)をさしだした。するとユーモアのある秀吉は、すかさず「この寺は湯たくさん茶くれん寺」といって笑ったそうな。以来<茶くれん寺>と呼ばれるようになったそうな。<浄土院:今出川千本西入ル>

      行く春や徒な忘れそ小町塚