木魚歳時記 第1736話

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 王の徳

 狭い道で二台の馬車が鉢合わせをしました。ところが、どちらの御者(ぎょしゃ)も道を譲ろうとしません。そこで、馬車のご主人さまの「徳比べ」をして、徳の優れた順に馬車が先に行くことになりました。国王の馬車の御者は「相手が強けりゃこちも強い。これがわれらがご主人さまだ」と威張りました。ボサツの馬車の御者は「欲ばる人には慈善でさとし、嘘つく人には誠をつくす。これがわれらのご主人さまだ」。そういってから、ボサツの乗られた馬車が道を譲り、後からゆくことになりました。

    凍蝶の寂滅為楽ゑひもせす