木魚歳時記 第1353話

f:id:mokugyo-sin:20140107134401j:plain

かごの鳥

 あいたさ見たさに こわさを忘れ 暗い夜道をただひとり (中略) 出るに出られぬかごの鳥

 千野かほる作詞のこの歌は、大正末期から昭和にかけて一世風靡したそうです。ぼくの<おふくろ>がこの歌を、いつも口ずさんでいたことを覚えています。とりわけ「出るに出られぬ籠の鳥」の一節がなぜか印象に残っています。さて、俳句には「取り合わせ句」があります。これは「取り集め句」ではありません。すなわち、分量の増加(足し算・掛け算)ではないのです。取り合わすことで、一句に「質の転換」を求めるのです。芭蕉の「此秋は何で年よる雲に鳥」がその好例です。

     蛤が口ひらいたよおかあさん